DXを進める際に、内製化の重要性が認識されています。
近年、多くの企業がコスト削減を目的としてアウトソースを選択してきました。しかし、その影響で企業内のナレッジが流出し、企業独自の価値や競争力が薄れてきたという課題が浮上しています。
このナレッジの流出の背景には、業務の丸投げが大きく影響しています。業務はルールやプロセスで構築され、その中で生まれる質問や課題、解決方法が実際のナレッジとなります。これらの情報がアウトソース先に蓄積されることで、企業自体が持つべき知識や経験が外部に依存する形となり、企業の独自性が失われる恐れがあります。
さらに、ベンダーの継続性も大きなリスクとなります。特定のベンダーに依存することで、そのベンダーが業務を停止した場合や契約更新時の交渉が難しくなる場合など、業務が滞るリスクが増加します。
また、アウトソース先がプロセスの改善を行うインセンティブが低いため、業務の効率化や改善が進まず、結果的にはコスト増加につながる可能性も考えられます。
このようなリスクを考慮すると、内製化すべき部分は、プロセスの改善やナレッジの蓄積といった企業の核となる部分です。プロセスが明確になれば、システムの部分も効率的にアウトソースできるようになります。ただし、ミッションクリティカルなシステムや特別な業務を担当するシステムは、開発プロセスも重要であり、内製化が必要となります。
業務の核心となるプロセスやナレッジの蓄積は、自社の資産として保護・育成することで、リスクを回避し、より強固な業務基盤を築くことができます。アウトソースと内製化のバランスを見極めることで、持続可能な経営が実現できると考えます。